『吹けよ春風』を観たんだ【映画】三船敏郎がタクシー運転手を演じたオムニバス人情ドラマ



これは良い。

三船敏郎がタクシー運転手を演じたオムニバスドラマ。

いろんなお客をのせて、

それぞれの人間模様を見せていく感じです。

まず昔の東京の街並み、昔の車のデザインとか

見た目が面白すぎる。

うわー、これが東京かあみたいな。

今とあんまり違わないとこもあるけど、

高い建物がまったくなくて、

夜なんか真っ暗で

今とはまったく様子の違う町の景色が面白い。

三船敏郎乗ってる車もなんかすごい車なんすよ。

アメ車かなんかですかね。

左ハンドルでドアは観音開き。

中が広くて子供が10人ぐらい

ぎゅうぎゅうになって乗ってました。

三船敏郎演じるタクシーの運ちゃんは

情に厚くて困ってる人をほっとけない質なんすよ。

子供たちに100円分だけタクシー乗せてくれって

言われて、仕方がないなあって乗せて

100円分のとこで降ろすんすけど、

ここどこだ、帰り方わからないと

途方に暮れてる子供たちをみて

もう一回乗れっていってもとの場所まで送っていく。

大損なんすけど、まあ、どうにかなるさみたいな、

気のいい男なんすよ。

いろんな客を乗せるんすけど、

2500円のとこを500円に負けてやったり、

老夫婦の食事につきあってあげたり、

家出少女を家に帰るように説得したり

酔っ払いの酔狂にひやりとしたり

おねえ口調のタクシー強盗に遭遇したりと、

三船敏郎はお金からするとだいぶ損なことを

やってるわけだけど、

それで人がいい気分になってくれるなら

そのほうがいいよねっていう気持ちの良い性格してんすよ。

なんとも爽やかで明るい。

東京砂漠に咲く黄色い花。

三船敏郎が替え歌で、自分の黄色のタクシーをそんな風に

思って歌詞を手帳に書いてて

それをお客の人気芸能人の越路吹雪に見つかって

一緒に歌を歌うシーンとかあるんすよ。

心意気がいい。

ただ人を乗せて運ぶだけの味気ないタクシー業務を

自分で楽しんでやろうっていうかさ、

タクシーが世の中の一服の清涼剤になるように

やっていこうっていうかさ、

世の中と自分がどうかかわっていくのか、

ものすごく前向きに人生をおくってるのがいいんすよねえ。

誰に頼まれたわけでもなく、

それで得するわけでもなく。

でもそうやって世間とかかわる生き方を

自分で選んでやってるわけで。

境遇は選べないし、世界がどうかわっていくのかも

わからないけど

自分がどう世界とかかわるのかという姿勢だけは

自分で決めることができる。

だから明るいんだよなあ。

お金的には貧乏なんだけど、

全然悲壮感ないんだよなあ。

出演者も何気に知ってる俳優がいっぱいでてました。

最初にちょいと出てくるのは岡田茉莉子だし、

人気芸能人は越路吹雪だし、

おねえ口調のピストル強盗は三國連太郎。

酔っ払って走行中のタクシーの窓から外にでて

天井をはって、反対側の窓から車内にもどってくるという

キチガイじみた遊びに興じるのは小林桂樹。

ムショ帰りを復員兵だと子供たちに言ってて

受け入れてもらえるかどうか不安でしかたない男は

山村聰がやってました。

老夫婦のおばあさんは三好栄子で、

この人、味のありすぎる顔してて演技もうまいから

けっこうほかの映画でも見かけると印象に残りますね。

老夫婦は大阪で料理屋してたのをたたんで

死んだ息子のアパートで東京暮らしを始めたんすけど、

知り合いもいない慣れない東京暮らしで

生きがいもなく腑抜けていた。

粋なことしてくれた三船敏郎に

お礼に料理をふるまってるうちに

ご主人は料理の話を生き生きとする。

それを見てたおばあさんは、

やっぱりうちらは死ぬまで働かなあかん、

大阪帰ってまた店やりまひょと生きがいを取り戻す。

そんな光景を見れてよかったと三船敏郎は微笑む。

良い瞬間に立ち会えたということが

何よりもうれしい。

いい生き方ですねえ。

いやー、よかったですね。

全然期待してなくて見てみたんすけど

なかなかの拾い物でした。

新型コロナウィルスで数週間で世界は様変わり。

この先も大変動していくけど、

どう世界と対峙するのかという姿勢は

自分できめられるので

この映画の三船敏郎のように

お金で損する生き方だとしても、

ちょっといいことした、いいもの見れたなあって

瞬間をどれだけ集められるかが

お金よりも全然大事だよと思える毎日を

過ごしたいもんすね。

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