『論文捏造/村松秀』を読んだんだ【読書】



ベル研究所のヘンドリック・シェーンによる

超電導に関する論文捏造事件を追ったルポ。

2002年の事件らしいんすけど、全然知らなかった。

斬新な実験方法の提示と高温での超電導発生の記録更新を

繰り返えす論文を発表して

超電導科学の分野で若きカリスマとなったシェーンの論文は

実は捏造だったというショッキングな事件だったらしいです。

なんか超電導って超低温でしか起きないらしいんすよ。

それで世界中の研究者が常温で超電導起こす方法や素材を

血眼になって探してるらしくて

そこにシェーンが斬新な方法でそれまでの温度の記録を大幅に塗り替える論文を発表した。

このペースでいけば夢の室温超電導もそのうち達成か、

ノーベル賞受賞も確実かという盛り上がりだったらしいです。

科学者の捏造事件といえば、STAP細胞事件が強烈に記憶に残ってるけど

それより前にこんな大きな事件があったんすねえ。

中身はなんか同じような印象を受けましたね。

捏造のパターンっていうか、そういうのあるなあと。

科学の研究の分野も権威主義、金儲け主義の世界なんだなというかなあ。

どこの世界でもふかしこくやつが何かの間違いでもてはやされるっていうかね。

研究とかいうとすごい学術的な探求の場で

すごいシビアに細かいとこまで検証とかチェックとかしてて

金儲けとか利益は二の次で

純粋に世界の真理を解き明かそうとしてる研究者が

日夜実験にはげんでいるみたいなストイックなイメージを

全然科学も研究者の実態も知らない自分は

もつんだけど、実際は全然そうじゃないみたいですね。

実験と実験データがあまりにもないがしろにされてる実態に驚愕する。

シェーンの論文がすごいってなって

世界中の研究者が追試して論文に書かれてることが

再現性あるのか実験するんだけど誰も成功しない。

でもこの段階ではシェーンの捏造を疑う人はほとんどいない。

こういうことは珍しいことじゃないみたいなんすよ。

科学者の専門性が細分化してるので

いろんな分野にまたがる技術を使って実験しなきゃいけない場合

自分の専門以外の分野のところが

何か不手際があるから成功しないんだろうと思うらしいです。

シェーンの論文には有機物の上に薄いアルミの膜をスパッタ装置で付着させると

さらっと簡単に書いてあったらしいんすけど

それが普通にやったらとても無理な作業で成功しないんすけど、

論文には書かれてない何か細かい作業のコツがあるんだろうとか、

特許とかの関係で公開できない秘密があるんだろうとかで

追試が成功しないことに疑問を持ちにくい。

それに権威がすごい。

シェーンは名門のベル研究所の人間で、チームリーダーもその業界の権威で

論文が掲載されたのも権威あるネイチャーとかサイエンスとかで

もうこれはすごいチェックを合格して世に出たものだから

追試に成功しないのはこちらの実験方法に不備があるせいだとなって

論文が捏造だという考えははなから浮かばなくなってる。

実際はチームリーダーのバトログ博士はシェーンの実験に立ちあってもないし、

成功した現場も見たことない。

どういうこと?みたいな。

権威って何かね?

シェーンの論文のすごさを吹聴しまくって

自分の手柄のように浮かれてたバートラム・バトログが

実際にはなんも把握してなかったって、そんなのありえるの?みたいな。

ネイチャーやサイエンスも掲載論文が捏造であるかどうかのチェックはとくにしてない。

どういうこと?みたいな。

なんで権威があるのかさっぱりわかんない。

なんか気持ちいいこと書いてあるシェーンの論文だけが独り歩きして

フィーバーをおこしてシェーンは出世もして名誉も得ていくんだけど

肝心の論文に書かれてある実験は誰もまったく成功しない。

疑問をぶつけられてものらりくらりと

普通にやって成功すると言い、

追及が始まっても単なる小さな表記ミスや勘違いだったと言い訳して

最後まで捏造を認めない。

STAP細胞騒動とまったく同じじゃないすか、これ。

革新的な内容の論文を発表した名門研究所の若手の研究者。

後ろ盾はその業界の権威である大物研究者。

追試しても成功する人がいない。

科学でもっとも重要な再現性がお留守になったままフィーバーしていく。

そして本人は捏造したという意識がない。

なんかこういう人が一時的にせよ優秀な科学者として

出てこれるっていうのが科学の世界も他とおんなじなんだなって思ったなあ。

ふかしこきまくるやつが出世していく世界。

論文でみんながこれすごいと思うようなことを

書いてみんなを気持ちよくさせる手腕があれば

実際に実験とかできなくてもやっていける世界なんだあって。

どの世界でも、実際に作業できる人よりも

調子のいいこと言ってみんなを気持ちよくできる人のほうが得するとこありますね。

最近もカール・レーフラー事件とかあって

これはばれずにすんでるケースがかなりあるぞって思ったなあ。

みんな自分の研究をやりたいわけで

他人の論文なんか興味ないから調べたりしないから

捏造してもノーチェックですり抜けるんだろねえ。

まあ、捏造がばれたらすべて失うわけだけど

意外とばれずにそのままな人も多いんじゃないすかねみたいな。

これ超電導とかすごい関心の高い分野だったからばれてるけど

もっと地味な分野で適当に捏造してて

そのまま権威になってる人とか多いんじゃないすか。

ふかしこきままくって

適当なことやってその場その場を切り抜けて

いい思いして引退まで逃げ切ってる人多いんじゃないすかね。

捏造してばれずに権威とか第一人者とかになってしまえば

あとは安泰みたいな。

権威になっちゃえば、おかしいと思ってても

同じ業界人は刺し違えてまで告発してやろうっていう気になりにくいし

偉くなったら現場からは遠ざかって人任せになっていくから

言い逃れもやりやすくなる。

なんかもう科学と似非科学の境界線があいまいだなっていうかね。

こんなに簡単に嘘がまかり通るなら

もはやオカルトじゃねえかみたいな。

まあ、世の中、ふかしこく技術が一番大事なんだなっていうことですね。

論文捏造 (中公新書ラクレ) [ 村松秀 ]

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