『張込み』を見たんだ【映画】



さあ張込みだ!

モノクロ松本清張。

威勢よく始まったので

刑事ドラマかと思ったんすけど、

これはそういうポリスサスペンスとか

刑事アクションとかではなかったですね。

この映画の中での犯罪や犯罪者側は

とくに詳しくは描写されない。

メインは刑事側の描写です。

それも二人組のうちの若い刑事の大木実が主役。

漠然とした不安を抱えて

結婚や所帯を持つということに

踏み切れない若い男が

張込みを通じて

何かをつかんで踏ん切りをつけて

女と一緒の生活を始めることにするまでを

描いた心理ドラマ。

犯罪をめぐるサスペンスな展開を

描く映画じゃないっすね。

若い刑事はまだ独身。

バーの女と付き合ってて

結婚しようかどうしようか。

銭湯の娘との縁談を持ちかけられて

断ろうか応じようか。

いまいち決断できずにいる。

なんか漠然とした不安があるみたいなんすよ。

バーの女は貧乏。

銭湯の娘はそれなりに裕福。

どっちの女と一緒になったとしても、

どういう生活をやっていけばいいのか、

所帯をもってやっていけるのか、

なかなか想像がつかなくて、

不安ばっかりで踏ん切りがつかない。

先輩刑事の宮口精二の家庭を見て

自分もこういうふうになれるのだろうか、

なりたいのだろうかとぼんやり考える。

そういう若い刑事が

張込みで高峰秀子を監視することになる。

逃亡中の田村高廣の元彼女が

高峰秀子で

そこに来る可能性があるからってことで

張り込む。

高峰秀子の今の生活を

ずーっと6日ぐらいですか、

監視するんですよ。

何にもおもしろいことのないただの日常。

高峰秀子は年寄りのとこに

後妻として入って

3人の継子の世話をする毎日。

夫はケチで小うるさい銀行マン。

毎日毎日同じことが繰り返される日常。

それを見て若い刑事はいろいろと

妄想を膨らませる。

高峰秀子に肩入れして

いろいろとこうじゃないか

ああじゃないかと考える。

犯罪をおかすような男と

過去に恋愛をした女とは

とても思えない。

でも、若い刑事は田村高廣が現れて

高峰秀子が熱烈なキスを

自分からしたり、

もう家には帰らない一緒に行く

とかいうのを見て、

あの退屈な日常に埋没していた女のどこに

これほどの熱情があったのかと

驚いたりする。

人には表面からでは

予測できない面がある。

犯人逮捕できて

東京に帰るってときに、

電報を打つんすよ。

バーの女に結婚して一緒にやっていこうと。

これは高峰秀子と

バーの女が重なって見えたからなのかなあ。

バーの女の強がりの裏に

弱い女の姿を見たからなんすかね。

張込みを通して、

若い男が結婚を決心するまでの

心の揺れを描いたドラマですね。

なかなかおもしろいドラマでした。

犯罪サスペンスを期待すると、

のんびりしすぎで盛り上がりがないなあって

なると思うけどね。

夜行列車で

ヘロヘロになりながら

東京から佐賀まで移動する

冒頭の描写や

旅館のひなびた雰囲気、

田園風景とかも

旅行気分が味わえておもしろかった。

それに汗だくな感じ。

エアコンなんかないから

窓全開でパタパタ扇子やってるのが

暑さが画面から伝わってきてよかったね。

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