『燃えつきた地図』を見たんだ【映画】



安部公房の小説を勝新太郎主演、

勅使河原宏監督で映画化したもの。

勅使河原宏の安部公房ものは、

「砂の女」とか

仲代達矢主演の「他人の顔」とかもありますけど、

他とはちょっと雰囲気違ったなあ。

この映画がカラーで

他はモノクロというのもあるのかも。

でも主演が勝新だというのが

大きいかもなあ。

勝新太郎のスター性が

けっこう邪魔な感じがしてしまった。

映画の内容が、

都市化する町に飲み込まれていく

現代人みたいなやつなので

出演者にそれぞれ個性がありすぎると

どうも特殊性が高まってしまって

なんでもない平凡な町が

実はすごい異空間であったという

感じにあまりならない。

都市に飲み込まれていく

無個性で名前もわからない人間たちみたいな

話なのに勝新は

個性がありすぎて

まったく埋もれていかない。

そういう点で、

他の出演者もどうかなあって感じでしたね。

個性がありすぎる。

市原悦子とか渥美清とか

吉田日出子とかね。

特徴のある特殊な演技をする人たちなので

個性ありすぎなんだよなあ。

まあ、勝新がザ・カツシンな存在感ありすぎなので

映画の内容と一番マッチしてないんすけどね。

でもけっこう見れたなあ。

失踪者を探してくれという依頼で

うごく探偵の話なので

謎が謎を呼ぶ感じで進んでいくので

ミステリーとして見ていけるし、

町並みや自動車が古くて、

それ見てるだけでおもしろいしでね。

勝新太郎の乗ってる車が

すごく小さくていいんだな。

昔はあんなペラペラで

頼りない小さな自動車が走ってたんだなあと

古さが新鮮にうつる。

そんな感じで見れることは見れるのだけど、

これといって結末が

しっかりあるわけじゃないので

見終わっても、

長かったけどどうなんだろこれ

みたいなとこありますね。

原作はどうだったっけ。

確か読んだことあったけど、

読んだときは全然ピンとこなかったなあ。

原作が発表されたのが

1967年ということなので

戦後から随分経って

めざましく近代化していく都市の中での

人間の存在の不確かさ

みたいな漠然とした不安のことを

探偵ハードボイルド小説風に

書いているのかなあ。

昔読んだとき、

失踪者を探す探偵のミステリーものだと

思って読んでたから、

途中でなにがなんだか

よくわからなくなって

読むのやめたのかも。

作品は発表された時代と

切り離して楽しめるものと

時代の空気と

密接に関係してるものがあるので

後者は時代背景を考えないと

楽しめないってわけか。

燃えつきた地図は時代背景を考えないと

楽しめないタイプかもなあ。

都市に飲み込まれて、

迷子になる人間。

アイデンティティの喪失。

今の時代にこういう感覚は、

あまりにもありふれたというか、

当たり前にあるものすぎて、

面白味がなにもないように見えてしまう。

まあ、失踪三部作のなかでは

「他人の顔」が

けっこう何も考えなくても

楽しめるので好きかな。

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