『さらば愛しき大地』を見たんだ【映画】





いやー、根津甚八がはつらつと暴発してますね。

躍動する根津甚八。

映画としては、

開発が進む中の

郊外の変化みたいなのを

描いているやつですかね。

雰囲気は「遠雷」とかを思い起こさせる。

遠雷は変化していく郊外で

いろいろありながらも

ちゃんとやっていくみたいな感じだったように

思うんすけど、

こっちの「さらば愛しき大地」は、

変化に飲まれて自分を見失うみたいな感じがして、

郊外の農家を舞台にした作品の

表と裏、陰と陽みたいに思えたなあ。

久しぶりに遠雷が見たくなったね。

根津甚八は気性の荒いトラック乗り。

実家は農家。

酔って暴れることが日常茶飯事。

子供二人が川で溺れて死んでから

粗暴さはエスカレートして

背中に子供の入れ墨いれたり、

家を出て秋吉久美子と暮らし始めたりします。

嫁は3人目を妊娠してたので

実家に子供がいるし、

秋吉久美子とも子供を作ってこっちにも子供がいる。

離婚してないので籍は実家にあるまま。

なんか無茶苦茶やってます。

それにシャブ中毒です。

トラック仲間の蟹江敬三にクスリを覚えさせたら

蟹江敬三がバッドトリップして病院送りになったりする

エピソードもある。

ほとんど人間やめますか、ドラッグやめますかの世界。

まあ、なんていうか、

そのうち仕事はうまくいかなくなるし、

借金が増えていくし、

でもクスリにはまって働く気力もないしで

秋吉久美子との生活もうまくいかなくなる。

何かに追い詰められて、

いつも苛立っている根津甚八。

あの追い詰められ感は

どこからくるんだろなあ。

何かが迫ってくる恐怖っていうのかなあ。

じわじわ浸食されるという恐怖なのかな。

田んぼの緑がなんだか恐ろしく見えてくる。

不安だから無茶苦茶やるっていうことなのかな。

根津甚八の弟はうまく生きてるんすよ。

東京行ってたんすけど、

根津甚八が家をほっぽり出したから

田舎に帰ってきた。

根津甚八とは違って器用に真面目に生きることが

できるタイプとして描かれてる。

やっぱあれなんすかね、弟には

ダメだったらまた東京にでも出るかと思える余裕がある。

根津甚八にはそれがない。

どこにも逃げ場はない。

口下手だから器用なことなんかできんと

自分で思ってるから

田舎にいるしかない。

でも、その田んぼばかりの田舎に嫌気を感じている。

いらだちが募る。

だから暴発する。

そんな感じなんすかねえ。

でも周囲からは、

その苛立ちは理解不能なので

ほんとに困ったやつとしか思われてない。

いや、父親とかはわかってて知らん顔してんのかもなあ。

あの顔は見て見ぬふりしてる人の顔だなあ。

最後は弟が結婚式してるときに

根津甚八は秋吉久美子を刺すというとこに

行き着きます。

まあ、そんなきついことがあっても

今日も田舎では逃げた豚を

追いかけまわす日常が続くみたいなラスト。

まあ、とにかく根津甚八の暴れっぷりがいいですね。

それと豚小屋での小林稔侍と山口美也子の

泥臭い匂ってきそうなエロシーンとか

よかったですねえ。

役者たちに妙なリアリティがあったなあ。

根津甚八にしろ蟹江敬三にしろ、

田舎のダンプのおじさんそのものだったし、

岡本麗が台湾から出稼ぎに来てる水商売の女役で

出演してたけど

あれもリアルな雰囲気ありましたねえ。

この時代の役者の生活感をにじませる演技の

うまさは抜群すね。

予告

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