がん患者/鳥越俊太郎【本】を読んで

ガンは十人十色「がん患者 / 鳥越俊太郎」 大腸がんドキュメント。 ガンと分かる過程や、 手術、術後の様子、 ガンについて、 治療について、 ジャーナリストとしての仕事について、 そんなかんじで書かれた本。 一人のがん患者のドキュメンタリーというかんじで 読みやすいし、 引き込まれる内容だったね。 何をしたか 何を感じたかという ことが書かれていて興味深い。 ガンが見つかってすぐに 腹腔鏡下手術をうけることに。 早いっすねえ、決断するのが。 やっぱり、ガンだとわかったら、 医者がすすめる治療をすぐにうける というのが普通の反応なんすかね。 いろいろあれこれ考えて、 ああしようかこうしようかと 吟味していく時間がないんだろか。 抗がん剤もやるけど、 覚悟していた副作用がほとんどなかったらしく、 これは抗がん剤の効果がでてないのかもしれないが、 抗がん剤を使っているから、 ガンの進行を緩やかにしているのかもしれない。 効果があるのかないのかよくわからないとか。 なんともいえない抗がん剤の効果。 このへんも興味深いですね。

続きを読む

あの戦争になぜ負けたのか/半藤一利・保阪正康・中西輝政・戸高一成・福田和也・ 加藤陽子【本】を読んだ

結局わかりません「あの戦争になぜ負けたのか/半藤一利・保阪正康・中西輝政・戸高一成・福田和也・ 加藤陽子」 なぜ負けたのか。 結局、わからない。 わからないというのは、 戦略がなく、 無謀な作戦ばかりで、 補給も考えず、 精神論で突き進んで 負けたというのはわかるのだが、 なぜ、そういう道を進んだのか という点がわからない。 結果がわかっている現在の視点から 考えるから合理的でないと 思うだけで、 当時の情報や状況では そういう方向に進むのは 仕方がないというもんでもなく、 当時も無謀な道だということが 十分わかっていた。 それだけの情報も理性もあったらしいのだが、 なぜか開戦に向かっていく。 それがなんか恐ろしいですね。 合理的に考えたら、 無理なんだけど、 なぜか無理な方向に進んでいく。 これはなんか怖いですね。 日常でもよくある。 これはダメだろうなあと 誰しもが思っていたとしても 誰も言い出さないし、 行動もしない。

続きを読む

月と六ペンス /ウィリアム・サマセット モーム【本】を読んだ

「月と六ペンス / サマセット・モーム」 古典文学ですねえ。 1919年に発刊されたものなんすけど、 ぜんぜん古びた感じはしなかったすね。 初めて読んだんですけど、 普通におもしろかったです。 わかりやすい文章でありながら、 けっこう含蓄のある文章でもあり、 次がどうなるか次が気になって ページをめくらせるストーリーテリングのうまさもあり、 これは今売られている小説の中に 並べてもまったくひけをとらないどころか、 このレベルのものを探すのは苦労するんじゃないか みたいなそういうよく出来た小説だったなあ。 光文社の古典新訳文庫のバージョンで読んだのが よかったのかもしれないっすね。 海外ものの古典文学ってさあ、 訳が古臭すぎる、 ページに小さい文字を行間とかスペースを 考えずにびっしり詰め込んだページ構成、 だったりして、 読まれることを拒んでるんじゃないかっていうね、 翻訳も本としての作りも悪いものが多くて、 なかなか手が伸びないんすけどね。 こういう風に翻訳をしなおして、 文字の大きさや行間のスペースも ちゃんと読みやすいように調整されなおして 出版されるといいですよね。

続きを読む

マイケル・ジャクソン裁判 あなたは彼を裁けますか? / アフロダイテ・ジョーンズ【本】を読みました

「マイケル・ジャクソン裁判 あなたは彼を裁けますか? / アフロダイテ・ジョーンズ」 マイケル・ジャクソン裁判の法廷で起こった出来事を記録した本。 といっても劇的ななにか、 ドラマチックな出来事は一切記されていない。 どいうことかというと、 最初からこの裁判は裁判として 成り立たないような馬鹿げたものだったのだ、 ということなのです。 有罪濃厚だったのが、 なにかミラクルがあってひっくり返ったのでもなく、 大金で動く悪徳弁護士のスーパープレーで 無罪を買ったわけでもなく、 終わってみれば、 最初からどうやってこの裁判が成立したのか よくわからないなあみたいなかんじなのです。 検察側はこれでよく有罪に出来ると 思ったもんだってなもんです。 検事の私怨もあったらしいっすけどねえ。 訴えた少年側の証言だけが 頼りみたいな検察側の主張。 その頼みの綱の少年側の証言が、 まったくいい加減で適当なもので、 これでは信じろといわれても 親しい人間でも無理だなといわざるを得ないような お粗末なもので、 終わってみれば、 ただただばかばかしいというかなんというか。

続きを読む

死者の奢り / 大江健三郎【本】を読んだ

「死者の奢り・飼育 (新潮文庫) / 大江健三郎」 有名な都市伝説、 病院で死体洗いのバイトをしたっていうやつの 発信源ではないかと言われている短編小説「死者の奢り」 大江健三郎のデビュー小説でもあるんすねえ。 なかなかとっつきにくい感じですね。 大江健三郎の文章って読みにくいんだ。 この小説で出てくるのは死体洗いではなく、 死体運びのバイトです。 水槽に保管されている遺体を 新しい水槽に移すバイトなんすけど、 リアリティがあるものとしては描かれていないように 感じます。 死と生を扱うために考えた設定のように思える。 だってさあ、 解剖に使われもしない古い死体を わざわざプールに置いておく意味なんてないもんなあ。 新しいやつからもっていかれるから、 古いやつがいつまでも残っちゃうって、 そんなバカなってかんじでしょう。 主人公の僕は文学部の大学生で、 医学部で募集していたバイトに気軽に応募してみてっていう 話の出だしなので、 普通のリアルなリアリティのある ドラマなのかなというかんじがするのだけど、 中盤、後半は観念的というか、 思想的というか、

続きを読む

抗がん剤は効かない / 近藤誠【本】を読んだ

「抗がん剤は効かない / 近藤誠」 抗がん剤は効かないとはインパクトある題名っすねえ。 やっぱり効かないんすかねえ。 今は、癌治療といえば手術できる段階なら 手術で腫瘍を摘出するか、 放射線治療するかで、 さらに進行していれば抗がん剤治療みたいなかんじなのかな。 手術できる段階を過ぎていれば、 抗がん剤投与が標準治療みたいな。 標準的なやり方といっても 抗がん剤で癌が治った~みたいな話は あんまり聞いたことないっすね。 抗がん剤の効果って効く人もいれば まったく効かない人もいれば、 効くといっても、 気持ち腫瘍が縮小したというのを 効いたというのか、 1ヶ月でも2ヶ月でも延命できたから効いたのだと 言われても、抗がん剤治療をしなくて そのまま置いておいてもそれぐらいは 生きたのではないか、 むしろ抗がん剤治療をしたことによって、 寿命が縮んだのではないかとか。 抗がん剤のイメージって毒性は確実にあるけども、 治療効果はあっても少しで、 はっきりと効果があるといえるような ものではないというイメージなんすけど、

続きを読む

怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話〈11〉/アルボムッレ スマナサーラ【本】を読んだ

仏教は心の科学「怒らないこと 2―役立つ初期仏教法話〈11〉 (サンガ新書) / アルボムッレ スマナサーラ」 怒らないこと第2弾。 なかなかおもしろいですね。 というのも、 普段、何気ない瞬間に感じていたこととか、 こうではないかと思っていたことが 仏教的にこういうことだという教義として はるか昔から存在していたということが おもしろいですね。 昔から人間は同じことを感じていたんだなあと。 すべては無常である。 人生は苦から苦へ変化しているだけである。 自我とは幻想に過ぎない。 これは神秘でもなんでもなく、 宗教的アプローチをとらなくても、 普通に生活していても、 出来事のはしばしにそういうことを 感覚として感じることがある。 それを何々教と呼ぶのか、 哲学というのか、 科学と考えるのか、 というのはひとそれぞれの捉え方次第ということ。 文中、仏教は心の科学という記述がありますが、 こういう法話を聞いたり見たりしてみると、 ほんとにそのとおりだなと思います。

続きを読む

考えない練習 / 小池龍之介【本】を読んだ

考える練習「考えない練習 / 小池龍之介」 題名がちょっとあれだな。 考えない練習とありますが、 何も考えないということを説いてるわけではなく、 考え方をシフトしようということを 提案している本なのです。 仏教の教義を例にだして、 こういう考え方があるんですよという 解説をしています。 内容的には仏教本なんじゃないすかね。 何かこう「考えない」ということに関する 内容というよりは、 仏教の教義を現代的なかんじで プログラムとかノイズとかセンサーとか そういう言葉遣いで 説明しています。 考えない練習というより、 仏教教義をちょっと解説しましたという雰囲気ですね。 インパクト優先でつけられた題名じゃないかな。 題名と内容が微妙にシンクロしてないということは、 書籍ではよくあることです。 仏教というのはなかなかおもしろいものですね。 葬式とかで一番身近に感じる宗教なんですけど、 そのわりに教えの内容については よくわからないでいる。 まあ、いろんな宗派がありますからねえ。 仏教と一口に言っても それぞれまったく違うんでしょうねえ。

続きを読む

夜行観覧車 / 湊かなえ【本】を読んだ

幸せってなんだっけ「夜行観覧車 / 湊 かなえ」 高級住宅地の住人の人間模様ミステリ。 なかなかよかったんですけど、 ミステリーというかドラマというか。 犯人の内面の描写があんまりなくて、 そこはわざと書いてないというか、 周囲がどう思っていたのか、 こういうことではないかと想像するというか、 結局、何がスイッチになるのかは、 本人にしかわからないという話で 人それぞれ抱えるものっていうのは、 同じ場所にいても一緒に暮らしていても、 まったく違うのだというかんじですかね。 まあ、だから犯人探しのミステリっていう わけではなくて、 ドラマエンターテイメントみたいなかんじか。 どろどろした思いのたけはよくかけているのだけど、 展開があまりにも偶然すぎて、 げんなりするとこがありますね。 偶然、あの人とこの人が知り合いでみたいな、 接点の作り方が、 物語の必然でそうなってるわけじゃなくて、 偶然そうなんですというやつなので、 そこはあんまりおもしろくないとこです。 最後の展開もなんか変な感触というか、 偶然集まって偶然顔合わせてみたいな、 なんでこういう展開になったのかという 説得力があまりなかったし。

続きを読む

怒らないこと / アルボムッレ・スマナサーラ【本】を読みました

笑って生きよう 「怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書) / アルボムッレ・スマナサーラ」 これはなかなかよかったですね。 怒ることが当たり前で、 怒らないでニコニコしていると、 あいつはガッツがないとか 根性がないとか言われてしまうような世の中で、 怒らないという生き方が、 幸福に生きるための智慧となるというお話。 なぜ怒りという感情をもってしまうのかというところから なるほどなあとおもしろかったですね。 人間、誰もが自分はいっぱしの特別な存在だと思ってるわけです。 いや、ぼくなんてぜんぜんだめですよ、 わたしなんて底辺だわ、 なんて言っていても、心の奥底では、 自分はなかなかのものだとひそかに思ってたりするわけです。 その正しい完璧であるわたしが、 こんな扱いを受けるなんて間違ってる。 わたしが正しくて相手が間違ってる。 わたしが正しいのだから怒るのも当然だという 意識から沸いてくる怒りというのがあるんですねえ。 これはけっこうある。 お互いが正義はわれにありと思ってる。 逆に、自分はだめだと思いすぎで、 よくできる人をねたむことから生まれる怒りというのもある。 まあ、そこで怒りをどう耐えるのかではなく、 最初から怒らないようにしようと、 そういうわけです。 怒りにとらわれた暗い人になるよりも、 …

続きを読む