『明智小五郎 対 怪人二十面相』を見た【TVドラマ】





俺の戦争はまだ終わっちゃいない!

いやー、難しいっすね。

江戸川乱歩の実写映像化って難しいなあと

改めて思う。

江戸川乱歩の小説の最大の魅力は

正体不明、得体のしれなさだと思うんすよ。

底知れない不気味さが

怪人二十面相にしろ、明智小五郎にしろ

小林少年にしろ

登場人物たちにある。

そこが魅力なんすよねえ。

文章だから成立してる部分が大きい。

実写化すると名のあるタレントや俳優が演技するわけで、

正体不明な雰囲気が一切なくなるのです。

ハッハッハッハッ、怪人二十面相だといったところで

ビートたけしでしょ、コマネチのってなるし、

名探偵明智小五郎と言われても

古畑任三郎じゃないかってなるんすよねえ。

得体が知れすぎで

正体不明という最大の魅力が消されてしまう。

なのでなんか残念な雰囲気になっちゃうんすよねえ。

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『江戸川乱歩の一寸法師』を見た【映画】内川清一郎監督、宇津井健、丹波哲郎出演の猟奇ミステリー



江戸川乱歩の一寸法師

新鮮な猟奇を求めて

今宵も魔界都市東京を彷徨う宇津井健。

いやー、けっこうおもしろかったっすね。

怪しい感じがいい。

戦後の混乱の余韻が残る東京。

有象無象が蠢く夜の街。

江戸川乱歩の怪奇ムードが楽しめる映画っすねえ。

一寸法師っていうのは小人です。

江戸川乱歩の作品にはそういうのけっこう出てきますね。

小人とかサーカスとか奇術とか。

ああいう見世物小屋の

正体不明の怖さ、いかがわしさというのが

江戸川乱歩作品の持ち味のひとつになってますねえ。

宇津井健は雑誌記者かなんかですかねえ。

夜な夜な街を徘徊して

記事にできるネタがないか探してるわけ。

そこに怪しい小人が人間の腕を落とすのを目撃する。

後を追うがお寺で見失う。

翌日、新聞を読むとバラバラ殺人のニュースがあって

昨日の小人と何か関係があるのかもと思う

みたいな出だしです。

その話と知り合いの金持ち夫人の娘の失踪事件とが

同時に展開していき、

探偵も登場して謎解きにとりかかる。

事件は異常な愛情が引き起こした怪奇だったみたいな感じかな。

途中、丹波哲郎なんかが登場して

しかも若いから相当古い映画だなって感じしたなあ。

まあ、確かに古いことは古い。

小人が何喋ってるのかよくわからないんすよねえ。

あれは気持ちが高ぶってて

何言ってるのかわからないっていう演出なのかなあ。

小人を演じてる人はかなり身のこなしが軽い。

最後の大捕り物のところでは

高所のロープを移動したりしてなかなかです。

大勢の警官との追いかけっこが迫力ある。

わーわーと押し寄せる警官隊と

軽業師のようにかわして逃げる小人。

おもしろいですね。

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『D坂の殺人事件』を見た【映画】江戸川乱歩+実相寺昭雄+真田広之、「D坂の殺人事件」と「心理試験」をもとにしたエロチックサスペンス



D坂の殺人事件

江戸川乱歩と実相寺昭雄の相性はいいようで

けっこういい感じに出来上がってます。

江戸川乱歩の実写映画ってあんましいいのがないんすよねえ。

なんだろな、エログロナンセンスの加減がうまくない

映画化作が多くていまいちなのが多い。

このD坂の殺人事件はけっこういい線いってます。

「D坂の殺人事件」と「心理試験」を組み合わせた話になってて

美術品の贋作師や大江春泥とかは

どっか別の作品から引っ張ってきてるのかな。

大江春泥ってなんかで聞いたことあるなあ。

D坂って密室殺人が実はSMカップルの事故死だったというやつだったっけ。

心理試験はドストエフスキー風の話で

高利貸しの婆さんを殺して金を奪った秀才が

頭がいいがゆえに明智小五郎の

トラップに引っかかってしまうっていう感じだったっけ。

どっちも本格推理でもあり、

雰囲気を楽しむミステリでもありでけっこう好きな話だけど

もうあんまり覚えてないっすね。

久しぶりにまた読み返すかな。

真田広之が演じるのは美術品の贋作師。

腕はいいです。

古本屋の女主人から大江春泥の責絵の贋作を頼まれる。

大江春泥ってのが伝説の絵師らしいです。

真田広之は大江春泥になりきって完璧な贋作を作る。

前半はこれだけ。

真田広之が贋作づくりしてるだけの感じなので

けっこう退屈かもしれないですね。

事件が起こって解決編になるのは最後の最後で

時間的には贋作づくりのところがかなり長いです。

真田広之はけっこう屈折してる。

不能者だという描写もあるし。

贋作を作ったらオリジナルは燃やしてしまうのが主義。

まあ、それが事件の動機になってるので

綿密に描写するのも無駄ではないのだが、

けっこう長いっすよねえ。

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江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 [DVD]




ピエロ~「屋根裏の散歩者




これはおもしろかった。

乱歩っぽかったなあ。

江戸川乱歩の映画化作品の中で一番いいかんじかもしれない。

異常度、エロ度が高い。

異常なエロ度が高いといったほうがいいだろうか。

石橋蓮司の死んだ魚のような目。

それに対抗するのは、宮下順子の肉欲にたぎった欲望のまなざし。

この両者が見つめあったとき、

天変地異がおこるううう!

目と目があったらミーラク~ル。

屋根裏の散歩者を主軸に、

人間椅子のエピソードや道化師キャラや

性欲にまみれるマダムキャラをからめて、

独特な雰囲気をかもしだす。

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失恋殺人

失恋殺人 [DVD]






宮地真緒の満点オッパイ「失恋殺人



宮地真緒かあ。

懐かしいね、NHKの朝ドラでヒロインやってたなあ。

まんてんだっけ。

時は流れて、ヌードで江戸川乱歩ものをやるようになるとはなあ。

乱歩の「妻に失恋した男」をもとにした映画なんだけど、

こんなのあったっけか?と。

たぶん読んでると思うんだけど、印象にまったくないところをみると、

そんなによくできたもんでもなかったんじゃないかと。

サスペンス的には、ぜんぜんだしなあ。

雰囲気勝負だね。

でも、赤紫の照明はやりすぎのような気がしたけど、

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陰獣

陰獣 [DVD]





非日常な乱歩ワールド「陰獣




これは意外とよかった。

江戸川乱歩のいかがわしい世界観がうまく映像化されてたなあ。

フランスの作家が新作のプロモーションのために来日して

巻き込まれる事件のお話。

展開がかなりうさんくさい。

謎の覆面作家、大江春泥の正体を追う。

大江に命を狙われる芸妓といい仲になっちゃったり、

ヤクザな石橋凌と対決したり、

異国情緒満点の京都の地で探偵ごっこ。

うーむ、うさんくさい。

このうさんくさい嘘っぽい展開が、

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乱歩おじさん / 松村喜雄




おじさん乱歩の人となり「乱歩おじさん―江戸川乱歩論 / 松村喜雄



江戸川乱歩の人物評伝。

年少のときから乱歩をそばで見てきた著者、松村善雄による

江戸川乱歩評論です。

「二銭銅貨」「一枚の切符」の作家デビューから順に、

そのとき書かれた作品と社会状況をまじえながら、

江戸川乱歩こと平井太郎の心境を詳らかにしていく内容。

あー、なるほどなと思うところが多かったっすね。

江戸川乱歩といえば、エログロナンセンス。

神秘的な雰囲気の作風で認識されている。

後期の少年探偵団ものとかね。

でも、初期の短編には、本格ミステリの方向を目指していたものも多い。

もともと、乱歩は、論理的なトリックや犯行を緻密に展開する

本格派タイプのミステリ、探偵小説を志向していたけども、

そっちは大衆に受け入れられず、

独特の味、おどろおどろしい雰囲気を盛り上げた作品のほうが、

評価されて大衆に受け入れられた。

それで、乱歩は本格ミステリから、

エログロナンセンスと見られるような方向にシフトしていったと。

確かにそうっすね。

初期短編には、論理トリックを

たんたんと書いていくような、

江戸川乱歩のイメージからは、あっさりしすぎている作品もありますもんねえ。

そして、そういう作品は、あんまりおもしろいと思わなかったりするわけで。

まあ、でも初期短編は、神がかっているものが多いっすね。

デビューの「二銭銅貨」からして、なんだこの完成度の高さはと驚く。

英語が堪能で、海外のミステリを原書で大量に読んでいたらしいから、

その蓄積が一気に爆発したんすかね。

海外ものを日本にあうように演出したっていうか、

それにしても質がすごいというか、

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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間



これは意外とよかった。

出来はけっこういいんじゃないすかね。

江戸川乱歩の「孤島の鬼」「パノラマ島奇談」をベースに

怪奇な世界を繰り広げる石井輝男ワールドが炸裂。

「人間椅子」とか「屋根裏の散歩者」ネタもちょろっと登場。

かなり強引に組み合わせてあるが、

乱歩のいかがわしい世界は

よく表現できてたんじゃないか。

よくわからん話の展開なんすけどね。

精神病院に収容されている吉田輝雄

看守はゴケミドロの高英男

おれは基地外じゃないぞ~と脱走。

記憶喪失なのかなんなのか、

自分がなぜ入院していたのかわからない。

脱走すると、夜中に一人で歌うたって

散歩するサーカスの女と出会う。

怪しい。

怪しすぎる。

女が歌う歌に聞き覚えがある吉田輝雄は、

裏日本に自分のルーツがあるのではないかと推測。

飛躍しすぎや!

新聞記事で、

自分と瓜二つの旧家の当主が死んだという記事を発見。

なんという偶然。

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K-20 怪人二十面相・伝


K-20 怪人二十面相・伝[Blu-ray]



ハーッハーッハアッ~!「K-20 怪人二十面相・伝



金城武にはうんざりだ。

たけちゃん、演技をどうにかしてほしいなあ。

仲村トオルや松たか子がビシッとキリッと演技しているのに、

それを受けて金城武が喋り始めると、とたんにありゃりゃな空気になってしまう。

絶望的に下手すぎる。

日本語が下手というより、やっぱり演技が下手だね、カネやんは。

この下手さはコメディシーン、笑いを誘うシーンでは、

かなりいい感じに生きるのだが、

ここはビシッとシリアスに決めてくれよというシーンでは、

なんだかなあ、このボンクラはとなってしまう。

この映画は、コメディっていうか、お笑いありの冒険活劇映画なので、

活劇、笑いの部分では金城武はぴったりフィットしているんだけど、

なんかシリアスな面も話しに盛り込もうとしてるんすよ。

階級制度への批判とか、

貧困に苦しむ子供とか、

悲惨な社会状況に対する最下層民の不満、希望みたいな、

単なる活劇ではなくて、そういうシリアス要素が多いんすよ。

しかも、それを台詞でクソガキに説明させたりしてんの。

そのシリアス要素に金城武がまったくフィットしない。

大真面目になんか体制批判とか、金持ち階級の松たか子に説教したりするんだけど、

全然ダメだ。

締まらない。

台詞をうまく言えない役者に、文章台詞を言わせても興ざめするだけだぜ。

金城武の生かし方がわかってないわな、この監督。

金城武を使う場合、寡黙な性格ということにして台詞は極力減らすのが正解。

しかも、長い。

体制批判とか貧困とかの話の部分が長すぎ。

ニコラ・テスラの装置とか怪人二十面相の正体、目的を探る冒険活劇が見たいのに、

金持ちは貧乏人のことがわかっちゃいないみたいなシーンばっかりなんすよ。

そういうつまらんシーンが続いて、

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目羅博士の不思議な犯罪 江戸川乱歩全集(第8巻) / 江戸川乱歩

目羅博士の不思議な犯罪


目羅博士の不思議な犯罪 江戸川乱歩全集(第8巻) / 江戸川乱歩



表題作「目羅博士の不思議な犯罪」を含む8作品を収録。

目羅博士は抜群におもしろいのですが、

いかんせん他の作品は今一歩、

わたくしの琴線を振るわせるところにはいたりませんでした。

やはり江戸川乱歩は初期の短篇に限ります。

初期の短篇群の作品としての完成度の高さは、

ちょっと異常ではないかと思ふのです。

「目羅博士の不思議な犯罪」も傑作といって差し支えないでしょう。

探偵小説のネタ探しに町をぶらついていた小説家が、

上野動物園で出会ったルンペンのような青年から聞いた不思議なお話。

「模倣」という人間心理の恐ろしさと、

月光に宿る狂気の作用のオカルティックな恐ろしさが、

絶妙にミックスされた短篇で、

乱歩の独特な語り口も相まってずんずんと作品世界に引き込まれていきます。

乱歩の自作解説によると、連続自殺という部分の着想は、

エーヴェルスの「蜘蛛」という短篇から借りたとのこと。

海外の作品から着想を得て、

それを日本の風土にあうように置き換えて再構成し、

幻想的な語り口で仕上げるというのが乱歩の真骨頂。

長編の見世物サーカス小屋のような怪奇趣味も悪くはないのだけれど、

短篇の切れ味鋭い味を覚えてしまうと、

長編作品の助長さには耐えられなくなるのです。

「目羅博士の不思議な犯罪」のほかに、

「地獄風景」「恐怖王」「鬼」「火縄銃」「殺人迷路」「悪霊」「妖虫」を収録。

「火縄銃」はプロデビュー前に書かれた処女作。

「地獄風景」は小型版「パノラマ島綺譚」。

複数の作家で物語を書き繋げるリレー連作として書かれた「殺人迷路」。

ドイルの「ブルース・パーティントン設計書」のトリックを借りた「鬼」。

連載を3ヶ月休んだ上に、未完で終了した「悪霊」。

少年探偵団シリーズに通ずる荒唐無稽さをもった「恐怖王」「妖虫」。

なかなかバラエティに富んだラインナップでございますし、

乱歩の作品の変遷を知るという意味では興味深い作品ばかりですが、

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