タイマ / 嶽本野ばら

タイマ


タイマ / 嶽本野ばら



嶽本野ばらが大麻で捕まった後に出した小説。

その名もタイマ。

本のカバーには逮捕されたときの新聞記事が載っているし、

物語の主人公はロリータにカリスマとあがめられている小説家ときて、

まるでこれはフィクションではなくドキュメンタリーなエッセイなのではと

思ってしまった、最初のほうは。

中盤から最後らへんは、けっこうぶっ飛んできるので、

ああ、これは大麻でパクられた体験をもとに書かれたというだけで、

いつもの嶽本野ばらな恋愛ワールドなのだなと思える。

職質されて大麻が出てきて拘留されて取り調べがあってという

最初のほうは、まるで作者自身の体験をそのまま書いたみたいで、

けっこうリアルで臨場感もありました。

ヴィヴィアンのロッキンホースの靴底に薬を隠してんじゃないかと疑われたり、

婚姻届にLSDをしみこませてんじゃないかと疑われたり

っていう描写はおかしくて、おかしいけど妙なリアル感があっておもしろかった。

その後のストリッパーの彼女の話はまるっきりのフィクションなのかなあ。

ニルヴァーナ好きのちょっと頭がぶっ飛んでる女の子。

その女の子への想いとか、いかにニルヴァーナのカート・コバーンがロックか

みたいなことが後半は主です。

ニルヴァーナをキューピッドに運命的な出会いをしたロックな二人の恋愛みたいな。

前半と後半でけっこう分離しているかんじはする。

前半は拘置所の描写とかで重い感じで、

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細野晴臣 / 分福茶釜

細野晴臣分福茶釜





常にぶれて流されて「細野晴臣分福茶釜



細野晴臣が鈴木惣一朗を相手にさまざまなことを語ったエッセイ。

細野晴臣の音楽ってあんまり聴いたことないなあ。

YMOぐらいか。

ソロの作品を聞いたことはないかも。

音楽はともかく、人物像はなんか謎ですね。

私生活がまったく見えないというか、

何を考えているのかよくわからないというか。

仙人みたいな生活してそうだけど、

都会的な生活してるんだろうし。

若くてものすごい美人と一緒にぷらっと歩いていたとかいう目撃談を聞いたりもする。

見た感じや、オーラは仙人というより宇宙人ぽいのだが、

実際どんな人なんすかねえ。

話はなかなかおもしろかったです。

YMO始めたころは、YMOやるかお坊さんになるかで悩んでいたとか。

宗教とか神秘世界のこととか好きそうだなあ。

人との距離感の話、老いることの話とかいい感じです。

匂いの話とかね。

音楽のことも書いてあったな。

1940年代の音楽が音がいいのは、

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半神 / 萩尾望都

半神 (小学館文庫)



半神 / 萩尾望都



短編マンガが10編はいってます。

「半神」ってのはすごいね。

完成度がすごい。

無駄がまったくない。

15ページぐらいのすごく短い話なんすけど、

カチッと音がするみたいに、パーツがあるべきところに、

きっちり収まってるみたいな完成度なんすよ。

腰の辺りでくっついてる一卵性双生児の女の子ユージーとユーシーの話。

憎んでいた相手の姿を鏡の中に発見するラストなんて、

うわー、やられたなあみたいな。

自分のような姿になって死んでいく妹。

かつての妹のような姿になった私。

死んだのは私なのか妹なのか。

二人で一人だった、その半身が失われたことにたいする愛憎を越えた感情。

なかなかに味わい深い作品でした。

他の9編もおもしろかった。

SFが多いかな。

「ラーギニー」は、いったいなんの話やと思って読んでたら最後にああそうかと。

「スロー・ダウン」は感覚遮断の実験を体験した男の子。

「酔夢」は、永遠にかなうことのない恋。

「ハーバル・ビューティ」は男?女?やっぱり……。

「偽王」は、この恨みはらさでおくべきか。

「温室」は、BL。

「左ききのイザン」は、左手の殺し屋と遺跡。

「真夏の夜の惑星」は、愛するべき相手は意外と近くにいた。

「金曜の夜の集会」は、これはいいですね。

このコミックの中では「半神」と「金曜の夜の集会」がとくに好きかも。

繰り返される時の中で。

最後のシーンなんかすごく切ないわ。

まあ、どの短編も短いのに世界の広がりがちゃんと感じられるのがすごいなと。

構成がしっかりしてんだろうなあ。

短い中にも起承転結があって、最後に余韻が残るような展開。

萩尾望都は、短編の名手だなあ。

小説を書こうとしている人とかにも参考になるんじゃないかな。

「半神」は野田秀樹が戯曲化もしてるんすな。

見てみたいっすね、どんなもんか。

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「空気」の研究 / 山本七平

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))



「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3)) / 山本七平




空気のお勉強。

KYとかいう言葉が流行った時代もありましたな。

“空気が読めない”というときの空気とはいったいなんであるか。

そんなことが書いてあります。

なんか難しいなあ。

「空気」の研究の他に、

「水=通常性」の研究、日本的根本主義について、というのも収録。

空気ってなんだろか。

その場を支配する空気ってやつは、確かに存在するなあ。

まったく抗うことの出来ない空気ってやつも、

その場、その時を離れた瞬間に雲散霧消する。

会議とかもそうだもんなあ。

ちょっとそれは違うんじゃないかと思っていても、

大方、大勢がそちら方向に傾いていると、

違うとは言い難くなって、そのまま押し切られる。

会議が終わると、ちょっとあれって違うんじゃないのかなあ、

ああ、そうだよな、おれもそう思ったけど、

あの空気の中ではさすがに違うとは言えないなあ、

みたいなやりとりが毎回のように繰り返される。

空気が読めるというのもよくないんだなあ。

空気が読めないことが罪のような風潮って、

なんかやばい流れのような気もしたな、この本読むと。

CO2と温暖化の話とか、どうなんすかね。

二酸化炭素の排出権をやりとりする市場とかできてて大金が動いてるけど、

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生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集 / 深沢七郎

生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集




生きているのは暇つぶしと言えたら最高だ
生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集 / 深沢七郎




題名がいいね。

生きているのはひまつぶしっていう題名がよかったから手に取った本です。

深沢七郎ってあんまりなじみがない作家っすね。

楢山節考ぐらいかな、今、本屋に置いてあるのは。

他の作品はあんまり見かけないけども、

題名と帯の写真がよかったのでなんか読んでみたくなった。

女の服をめくって、パイオツださせて満面の笑みをうかべるおっさん。

これはいい写真だ。

未発表のエッセイをまとめたもの。

いろんなことについてのエッセイでなかなかおもしろかった。

死について、セックスについて、田舎と都会について、

小説について、スポーツについて、

三島由紀夫についてなどなど、けっこう幅広い。

なんで未発表なのかよくわからんけど、

どれも普通におもしろかったけどね。

三島由紀夫のことを書いてる部分はとくにおもしろかった。

三島由紀夫はダメだって書いてる。

三島由紀夫は少年文学だと。

まあ、どういうことかはよくわからんが、

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世界の中心で愛を叫んだけもの / ハーラン・エリスン

世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)




わけがわからない「世界の中心で愛を叫んだけもの / ハーラン・エリスン


最近、まったく本を読んでない。

いかんな。

まったくいかん。

読まないとダメだ。

読みまくらなきゃダメだ。

世界の中心で愛を叫んだあああ。

意味がわからない。

ハーラン・エリスンの短編なんすけど、わけがまったくわからんかった。

この文庫には15編の短編が入ってます。

まだ最初の「世界の中心で愛を叫んだけもの」しか読んでないけど、

他のもこんなかんじなんすかねえ。

なんの話なのかがまずようわからんのですけども。

ウィリアム・スタログとかいう人が、残虐な殺しをするわけです。

配達された牛乳に農薬を入れて回って二百人を薬殺。

母親に爆弾入りのスーツケースを持たせて飛行機に乗せて乗客を爆殺。

満員のスポーツスタジアムでマシンガンを乱射。

そんなかんじで話が始まるのだが、

次の段落ではクロスホエンがどうしたこうしたみたいな、

第三赤色が第三流動で気違い竜がどうしたこうしたで、

なにがなんだか。

さっぱりわからない。

センフさんにライナさんが出てきてなにがなんやら。

最後は第四次世界大戦が始まって終わり。

難しい。

スタログいわく、おれは世界のみんなを愛している!神に誓ってもいい!だそうです。

ガス室送りになる前のお言葉。

どう解釈したらいいものか。

まあ、すごく短い短編なので読み返すのに苦労はないのだが、

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自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか / 岡本太郎


自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)





自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫) / 岡本太郎



疲れたときに読むと元気になる本。

爆発の岡本太郎先生の本ですが、すごくしみるね。

題名は奇抜だし、副題は

あなたは“常識人間”を捨てられるかだから、

なんか一見ぶっ飛んだ内容かと思うのだけど、

読んでみるとなるほどなと、そうだよなと合点がいくまともな内容なのです。

もう繰り返して読む人生のバイブルといっていいかも。

岡本太郎は天才で才能があって子供のころから普通じゃなかったから、

強く生きられたんだよと思いがちだけど、

そういうことではないんすね。

今、この瞬間を、全力で、真面目に戦う生き方を選択した。

瞬間瞬間、常に闘う道を選んだ。

それが他人からみれば才能があるからそうやれるんだというふうに見えてしまうけど、

才能あるなしの問題ではなく、闘うか闘わないかの違いなんすねえ。

岡本先生は、子供のころから大胆で独自の感覚をもってたのか思ったら、

子供の時に、いばりくさった先生の仕打ちに悩んで不登校になったりもしている。

特別に強い人とかいうわけでもない。

自分のことを特別だと思わないことっていうのも書いてあったなあ。

自分はすごいとうぬぼれることだけじゃなくて、

自分は特別弱いとかだらしがないとかダメだとか思うのもうぬぼれだと。

そんぐらいのダメさ加減の人間なんてはいて捨てるほどいる。

特別ではない。

おれなんてダメだと思いつつも、心のどこかでは、

いやいやおれもなかなかのもんだとか思ってたりして、

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わが愛の讃歌 エディット・ピアフ自伝

わが愛の讃歌?エディット・ピアフ自伝




新人シャンソン歌手新春シャンソンショー「わが愛の讃歌 エディット・ピアフ自伝



おもしろい。

エディット・ピアフが病床で語ったことを文章におこした自伝なんすけど、

おもしろかったなあ。

エディット・ピアフってほとんど知らんのですけど、

まあ、シャンソン歌手で波乱万丈の人生を送った人というのぐらいで、

聴いたことがある曲は「愛の賛歌」ぐらいかな。

美輪明宏とか越路吹雪が舞台でエディット・ピアフの劇をしてたね。

最近、ピアフの人生を映画化した「エディット・ピアフ 愛の讃歌」が公開されたりもしてたな。

そんぐらいの知識しかなかったんすけど、

読んでみたらおもしろいんだよなあ。

書き出しが“私はまもなく死ぬでしょう”ときたもんだ。

自分の死期をさとっていたのだろうか。

自分が死んだ後、いろんな人がいろんなことを言うだろうから、

自分の人生を自分で語っておきたいということらしい。

生い立ち、恋話、薬物中毒、交通事故、殺人容疑。

とてもひとりの人間が体験したこととは思えないほどの濃い内容です。

恋の話が多いっすね。

男の話。

こういう男と恋に落ちましたっていう話。

ものすごく惚れっぽい人らしい。

いろんな男と惚れたはれたの恋物語。

ボクサーのセルダンとの恋とかさ、なんなんだろうね、このドラマチックさは。

セルダン、飛行機事故で死んじゃうんだよなあ。

こんなことってあるんだね。

その後も何人もの男と恋仲になって、最後は20歳年下のテオと婚約したり、

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密会 / 安部公房

密会 (新潮文庫)



難しいが魅力的「密会 / 安部公房


わけがわからない。

安部公房だからなあ。

わからないのも当然だが。

ものすごく変な小説だね。

最初っから意味不明なんすよ。

馬という名前の人から盗聴テープを聞いて

それをノートにまとめるように言われる主人公。

なんだこれはと。

いったい馬とはなんだかなあと。

4本足で走ってる馬人間?

どうなってんのかさっぱりの出だし。

なんかね、主人公の男の妻が、

ある日、呼んでもいないのに来た救急車に収容されて、

病院に搬送された。

妻は急病でもないし、救急車を呼んだ覚えもない。

まあ、何かの間違いだ、すぐに妻は帰ってくると思っていたのだが、

妻の行方は知れず、

収容された病院を探すうちに、

病院の異様な世界に取り込まれておかしくなっていく主人公。

なんかようわからんですね。

主人公が異世界に迷い込むっていう話なら、

徐々になんかおかしくなっていくみたいな、

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フラグメンツ2 / 山本直樹


フラグメンツ (2) (Big spirits comics special―山本直樹著作集)




フラグメンツ (2) (Big spirits comics special―山本直樹著作集)/山本直樹


山本直樹のエロマンガ。

「アナログ温泉」「肉彦くんと先生」

「隣町から来たスパイ」「世界最後の日々」の4短編収録。

アナログ温泉は、自主映画を撮影しながら旅を続けている3人組の話。

肉彦は、小学生の肉彦とその性奴隷になった教師の話。

隣町は、戦争している隣町に潜入してるスパイの話。

世界最後は、小さなおっさんの姿のカミサマが現れて

世界の終わりを告げられた学生が

バイオレンスな逃避行をする話。

どの話もエロいシーンがあって楽しめます。

「世界最後の日々」は落ちが弱いけどなかなか好きですね。

世界の滅亡とかおもしろい。

ノストラダムスとか好きだったなあ。

1999年に恐怖の大王がふってくるだっけ?

ふってきたらおもしろかったのにね。

肉彦くんはエロい小学生っすね。

肉彦のことが気になってる先生をもてあそぶ。

残酷だなあ。

容赦ないもてあそび。

もてあそばれてるだけとわかりながらも、

肉彦の顔、目が好きで好きなようにやられる先生。

残酷です。


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