『ネオ・ファウスト/手塚治虫』を読んだんだ【マンガ】





手塚治虫の絶筆。

最後の作品がこれだったかな。

グリンゴ」「ルードウィヒ・B」と

「ネオ・ファウスト」が絶筆で終わった。

晩年に3作も連載してたってすごいっすね。

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手塚治虫の『奇子』を読んだ【マンガ】激動の戦後史を背景に地方旧家の暗部を描く



奇子

手塚治虫のマッド面が存分に発揮された歴史ミステリー。

いやー、おもしろいっすねえ。

戦後が舞台なので、GHQとか下山事件とか共産主義とか

そういうスパイなサスペンスアイテムが盛りだくさんで

話に引き込まれて読めたね。

そういうサスペンスにプラスして

日本の土着的な村社会のいびつさも描かれる。

大地主の天外家のどろどろした人間関係。

暗いっすねえ。

マッドですねえ。

権力を傘にやりたい放題の頭首。

財産を独り占めしたいがために、

父親に妻を差し出す長男。

復員兵でGHQのスパイである次男。

しっかりものの三男。

昔ながらの滅私奉公な母親。

活動家と付き合っている長女。

家を中心とした昔ながらの人間模様。

それが戦争が終わってアメリカの統治が始まり、

地主の解体など新しい時代になっていくにしたがって

醜く露呈していく。

題名になってる奇子っていうのは、

頭首が長男の嫁に産ませた子供なのです。

出生からして表沙汰には暗黙の了解でしないような

日陰の存在。

それが次男がある事件の容疑者として追われることに

なってそれにからんで存在自体がないものとされる。

奇子は死んだことにされて

その後、ずっと土蔵の中で成長していくわけ。

家を守るために人間を蔵で幽閉する。

そうまでして守る家は何をしているのかというと

奇子みたいな存在を創りだして

それをまた隠蔽してみたいな醜いことを

繰り返した歴史があるんすよ。

暗部を隠そうとしても隠そうとしても

時代が変わったせいなのか

表に浮かび上がってくる。

そういう面白さがあるねえ。

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手塚治虫の『ばるぼら』を読んだ【マンガ】



ばるぼら / 手塚治虫」

これけっこう好きなんすよねえ。

後半とかラストはあんまり好きじゃないんすけど、

前半の変態性欲オカルティックな雰囲気がたまらなくいいんだぜ。

主人公は作家。

文壇にユニークな地位を築いている売れっ子作家、美倉洋介。

異常性欲の持ち主。

その作家のところに転がり込んできたのが

フーテンのバルボラ。

金は盗むは酒癖は悪いは素性もわからない乞食同然の

おかしな少女なのだけど、

なぜか惹かれて家においてるんすよ。

まあ、のちのち彼女は芸術の女神、

いわゆるミューズであるっていう展開があるんすけどね。

前半の変態性慾のエピソードがいいんだよなあ。

デパートのマネキンに欲情したり、

でっかい毛並みのいい犬に欲情したり、

オカルトな秘密パーティーに潜入したり、

この作家の普通ではいられない

変態じみた嗜好の物語がいいんだわ。

このまま1エピソード読み切りの

変態性慾ストーリーでもいいじゃないかというかね。

処女作に思いを馳せる回なんか

実に読ませるねえってかんじでね。

後半はばるぼらの正体に迫っていくかんじの話になっていく。

芸術家っていうのは、

芸術にだけ奉仕して身を捧げることで、

傑作をものにできる人種で、

これがアート以外のことにのめり込みはじめると、

女神はどこかへいってしまって、

作品を作ることができなくなる。

主人公の作家も政治家の娘と一緒になって政界にいくことにしたとたん、

バルボラは姿を消し、

作品も書けなくなり、

政治家にもなれず、

精神も病んでいくという転落人生になる。

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人間ども集まれ!/手塚治虫【マンガ】を読みました



人間ども集まれ!

手塚治虫の暗黒面が出てる作品かな。

手塚作品はロマンとか地球を救おう的なやつとか、

ライトサイドの作品と、

エロ、変態、残虐なダークサイドな作品群が

あるんすけど、

これはダークなほうに分類されるかな。

というかダークサイドの暗黒手塚はおもしろいけど、

ライトサイドはいまいちなんじゃないすかねえ。

コメディタッチではあるのだけど、

設定や展開はえげつないというね。

絵柄はシンプル。

背景を描き込まないし、

キャラクターも最低限の線で描かれてる。

シンプルなだけに、

気をはらずに気楽に読めるんだけど、

中身はド変態というね。

なんだろな、やばいときの手塚治虫って

ほんとにやばいなというか、

漫画の神様とか、

漫画に情熱を傾けた人という手塚治虫像が

一応あるんだけど、

なんていうか、

ドロドロというか変態的というか、

そっちの熱量もはんぱなくあるんだなあと。

大御所なのに、最後まで新人漫画家と張り合って、

おれのほうがうまいみたいなエピソードがありますが、

やっぱ熱量がすげえなと。

こういうのどっから考えつくんすかねえ。

映画とか小説からインスパイアされてんのかしら。

映画はけっこう好きだったみたいっすから。

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地球を呑む / 手塚治虫

地球を呑む (1) (小学館文庫)地球を呑む (2) (小学館文庫)





暴動が起こるとすればまず大阪だ「地球を呑む (1) (小学館文庫) / 手塚治虫



正解!

手塚治虫のSF大河ドラマ。

壮大な復讐と愛の物語っすね。

失意の中で死んでいった母親の遺言を遂行する美しい娘たち。

復讐のターゲットは、お金と法律と男。

世の中を混乱させるために、

人工皮膚を開発。

絶世の美女ゼフィルスを生み出し、

男たちを翻弄する。

人工皮膚デルモイドZの登場によって、

誰もが手軽に別人の容姿を手に入れられるようになり、

世の中は混乱。

犯罪がはびこる世界に変わっていく。

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アポロの歌 / 手塚治虫

アポロの歌(1) (手塚治虫漫画全集 (35))アポロの歌(2) (手塚治虫漫画全集 (36))アポロの歌(3) (手塚治虫漫画全集 (37))







愛するということ「アポロの歌 / 手塚治虫




手塚治虫の“愛とは”マンガ。

いやー、マッドな面の手塚が堪能できる作品ですね。

親からの愛情を欲しているのに愛されず満たされない青年が主人公。

動物を虐待するし、

仲良くしてる姿を見ると我慢がならないしで、

病院に収容されて電気ショック治療をうけることになるわけ。

電気ショックで気を失ったときに見た夢に、

愛の女神みたいなのがでてきて、

愛の美しさを知らない主人公の近石昭吾に愛の試練を授けるのです。

何度も同じ女性を愛するが、

その愛は自分か相手が死んでけっして成就することはない。

それを繰り返すのだと。

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鳥人大系 / 手塚治虫

鳥人大系 (角川文庫)





鳥人大系 (角川文庫) / 手塚治虫




手塚治虫の人類史パロディ。

地球の支配者が鳥になったらみたいな話なんすけど、

マッド手塚の部分が存分に発揮された珍品です。

高度な生物は空を飛べるのが当然。

なのに地球は、進化の手違いで類人猿が支配階級についてしまった。

それを修正するために、

鳥に再進化を促す薬が地球にばらまかれる。

そんで鳥がどんどん賢くなっていって、人間にとってかわるんすけど、

鳥もまた、人間と同じ争いと欲望にまみれた社会を作るっていう話。

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火の山 / 手塚治虫






火の山 (文春文庫―ビジュアル版) / 手塚治虫



手塚治虫の短編集。

「火の山」「もの憂げな夜」「サロメの唇」

「雨のコンダクター」「山楝蛇」「レボリューション」の6編収録。

「火の山」は昭和新山の観察・保護を行った郵便局長、三松正夫の話。

ノンフィクションな三松正夫に、

フィクションのキャラクター井上昭和をからめて話を構築。

史実を基にした伝記マンガにとどまらない内容になってますね。

まあ、最後の終わり方とか強引かと思ったけど。

井上昭和の最後に、なにかもうちょっとあったらなあ。

かなり突き放したというか、

残酷であっさりとした終わり方なんすよ。

過去にいろいろあったけど、

そんなことはおかまいなしに、

新しい時代がやってきて状況は代わっていってるってかんじ。

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上を下へのジレッタ / 手塚治虫

上を下へのジレッタ 完全版




上を下へのジレッタ / 手塚治虫



奇想天外摩訶不思議。

手塚治虫のマッドさ加減は天井知らず。

うーむ、なんだかよくわからないが。

最後がちょっといまいちというか、

尻切れトンボなかんじなのでなんてことないんすけど、

読んでる間はけっこうおもしろかった。

前半は、プロデューサー門前市郎が、

空腹時は絶世の美女、満腹になるとへちゃな歌手・越後君子を

使ってのし上がろうとする芸能サクセス物語。

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ゴッドファーザーの息子 手塚治虫名作集 (1) / 手塚治虫

ゴッドファーザーの息子 手塚治虫名作集 (1) (集英社文庫)




ゴッドファーザーの息子 手塚治虫名作集 (1) (集英社文庫) / 手塚治虫



手塚治虫の短編集。

「ゴッドファーザーの息子」「ZERHYRUS(ゼフィルス)」

「1985への出発」「紙の砦」「すきっ腹のブルース」

「いないいないばあ」「悪右衛門」の7編収録。

手塚治虫自身の戦争体験を題材にした作品が多いっすね。

前半の5作が戦争テーマで、

後の2篇、「いないいないばあ」は座敷わらし、

「悪右衛門」は化けるキツネが出てくる時代劇の話で、

民話伝承系の短編です。

中でも「ゴッドファーザーの息子」「紙の砦」「すきっ腹のブルース」の3本は、

手塚治虫自身の分身のキャラクターが主人公になってて、

これは実体験を元に描いてるのかなってかんじ。

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