『MAKERSメイカーズ―21世紀の産業革命が始まる/クリス・アンダーソン』を読みました【読書】



MAKERS―21世紀の産業革命が始まるクリス・アンダーソン

製造革命っていうやつか。

昔はアイディアをもってる個人が

そのアイデアを製品にするには

生産設備を持つ大資本にアイディアを買ってもらうしかなかった。

それが現代ではインターネットの発達により

クラウドを使って

資金調達もできるし

工場にダイレクトに発注できるし

3Dプリンタで見本を作ることもできるしで

アイディアを持つ個人が自分で製造を行うことができる。

そういう時代がきてるっていう本でした。

インターネット・バブルのときは

情報革命でアイディアで勝負して起業する人たちが出てきた。

その次の段階は

ものづくり、製造の部分までも個人でっていうことですかねえ。

すごい時代になってきたなあ。

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『幼年期の終わり/アーサー・C・クラーク』を読みました【読書】



幼年期の終わりアーサー・C・クラーク

今更、幼年期の終わりを読んでみた。

読むのは初めてだったなあ。

最近、名作SFを読んでみようと思い立って

最初に読んだのがこれ。

幼年期の終わりという題名と

オーバーロードがどうしたこうしたというのは

散々耳にしてきたんすけど、

今まで読んだことはなかったんすねえ。

なんかとっつきにくいというイメージがあるね、

昔の名作SFには。

これも読み始めはなんか入ってこない感じで

読むのがつらそうだと思った。

でも中盤ぐらいまで一気に読めましたね。

米ソが宇宙開発にしのぎを削っているところに

巨大なUFOが出現。

人類よりもはるかに高度な存在であるオーバーロードによって

否応なしに統治されることになる。

まるっきりレベルが違う存在なんすねえ、オーバーロードってのが。

最初は姿を現さない。

存在と声だげで人間に圧倒的な存在であるとわからせる。

国連の代表者かなんかだけと

直接、話をするんだな、オーバーロードのカレルレンというやつが。

これってまるで神様が存在していて

降臨したらどうなるのかみたいな話で

すっごいおもしろくないすか。

神様は何が目的なのか。

神を実際に目にした人類はどう生きていくのか。

そんな感じで先がすごく気になってどんどん読みましたねえ。

国連の代表者が反オーバーロードの勢力に拉致されるとか、

オーバーロードの姿をあばこうとするとか

サスペンスみたいな展開もあり

エンターテイメントとしても楽しめた。

人間がオーバーロードの姿を探ろうとしようとすると、

カレルレンが50年後にその姿を人類の前にさらすと宣言する。

人間の思惑の先の先をいってるオーバーロード。

うーむ、謎は深まるばかりだ。

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『オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ/森達也』を読みました【読書】



オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ森達也

オカルト、ラテン語で“隠されたもの”を語源とする言葉。

これがすべてを言い表している。

それがおもしろいっすね。

心霊、UFO、幽霊、超能力、予言、魂、などなど

オカルト現象と呼ばれるものは

隠されているんだよなあ。

本文でも再三書かれていることなんすけど、

オカルト現象は、興味を引くように人の前に現れる。

気がついた人間がもっとよく見ようと近づくと

姿を消してしまう。

なんだ気のせいかと目を離すと

また視界の片隅に出現する。

この奇妙な距離感をずっと保ち続けるのがオカルト。

まさに隠されたものですねえ。

オカルトに関する研究がまったく進まないのも

こういうオカルトの性質を考えると納得というか

そりゃあデータの積み重ねによる研究なんてできないなと。

興味は引くけども

詳しく分析しようとするとぷいっとどこかに消えてしまう。

無視しようとすると

また存在感をアピールするような現れ方をする。

なんだこりゃと。

気分屋のひねくれ者みたいな。

目立ちたいけど目立ちたくない。

どっちなのみたいな。

ほんとに“隠されたもの”とはよくいったもんすね。

そう考えると

どれだけ科学が進歩しようと

人間の能力が高まろうと

オカルト現象が完全に解明されることはないということですかねえ。

だってわかっちゃったら

隠されたものじゃなくなるわけで。

でもほんと笑っちゃうというか滑稽なとこありますよねえ、超常現象って。

なんかくだらないんだよなあ。

スプーンを曲げることを超能力!っって言っちゃう感覚。

スプーンを曲げて何か得あるの、意味あるの?

曲げたければ手で曲げればいいじゃない。

万力で挟んで曲げればいいじゃないかっていうね。

能力の誇示の仕方がおかしい。

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『流星ひとつ/沢木耕太郎』を読みました【読書】藤圭子、1979年のインタヴュー



流星ひとつ沢木耕太郎

沢木耕太郎が藤圭子にインタビューした本。

1979年のインタヴューなので

かなり昔のインタビューですね。

なんか藤圭子が歌手をやめて

芸能界を引退する直前に行われたみたいです。

会話文のみで構成された本文。

全部会話なんすよ。

地の文がないせいなのか、

古い感じは全然しない。

昨日今日行われたインタビューのように

みずみずしさを感じる。

藤圭子という歌手がどういう歌手だったのか

リアルタイムに体験してないので

よくわからないけども、

おもしろいインタビューでした。

あの時どうだった、この時どう思ったと

重要な節目となるような出来事が

あったときの心境を沢木耕太郎が聞いても、

藤圭子は、別にとか

何にも思わなかったとかそっけなく応えるんすよ。

あなたの記憶はポンコツだなと沢木耕太郎も苦笑い。

答えたくないから、別になのかと思いきや、

前川清とのことや

親のことや

子供時代のことなんかをしっかりと喋ってる。

のどの手術をして声が変わってしまったことなど

収入のことなど

しゃべりにくそうな話題でも

濁さずにちゃんと喋ってるんすよ。

これは沢木耕太郎という聞き手に信頼感をもっていたからなのか。

それとも藤圭子という人がオープンな人だったのか。

このインタヴューを読んでみて思ったのは、

この人は生活するための労働として

歌う歌手だったのかなってこと。

日々の糧を稼ぐために

子供の頃から歌い続けて

そしてヒット歌手になって

日々の暮らしに必要な金額より

はるかに大きな金額が入ってくるようになった。

そしたら歌うモチベーションがなくなってもおかしくないなあ。

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『決定力を鍛える チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣/ガルリ・カスパロフ』を読んだ【読書】IBMディープ・ブルーとの世紀の対戦でも知られるチェス王者カスパロフが意思決定について語る



決定力を鍛える―チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣ガルリ・カスパロフ

いいこと書いてあるんだけどなあ。

チェスのことだけ聞きたい。

チェスの対局を通して知り得た、

意思決定のプロセス、

想像力の重要性、

分析、戦略、戦術、

そういう話を聞きたいわけで。

チェスの世界チャンピオンだから

チェスを通して体験したことを語ってほしい。

いや、語ってはいるのだが、

対局で得た経験を

企業経営や政治、経済の世界にあてはめて

あれこれ書いてある部分が思いの外多い。

著者はこの本をビジネス本の棚に置いてほしいのだろうなあ。

俺、チェスだけじゃなくて

経済とか政治についてもすごいんだぜって言いたいんだろね。

でも、チェス王者の経済分析とか企業経営論とか

別に聞きたくないんだよなあ。

チェスを通して得た智慧がなんであるかが知りたいわけで。

それをビジネスに活かしたり、

組織運営に当てはめたり

勉強の仕方に参考にしたりっていうのは

それぞれの読者がすればいいことであってね。

本文に書いてあるんすけど、

結果を知ってからの分析は罠があると。

勝負を決めた一手を分析するとき

勝敗を知っているのでその手がすごい手であるかのように

思ってしまうけども、

他にもっといい手があるかもしれないし、

もしかしたらうまく機能しない手であるかもしれないし。

結果を知っている分析は分析のための分析になって

役に立たないと書いてあるんすけど、

この本の企業経営の例とか経済の例とか政治家の例が

全部、結果を知った上での逆算された分析でしかないわけで。

あの時点で経営の舵取りを間違えたとか

戦略をミスしたとか

全部、結果を知ってるから言える分析でしかない。

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『定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー』を読んだ【読書】アルフレッド・ヒッチコックが処女作から最後の作品まで、フランソワ・トリュフォーに語り尽くす



定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー

分厚い。

重い。

ページを開くと小さな文字でびっしり。

写真も豊富。

内容も初監督する前から始まり

年代順に作品を追っていく。

インタビュアーのトリュフォーが相当なヒッチコックマニア。

細かいとこまでよく見てる。

ヒッチコックを映画の神と尊敬しているので

ヒッチコックも興が乗るのか

いろんなことをしゃべっている。

撮影の裏側や

サプライズとサスペンスの違いなど

映画作りに関する信条など。

この本はヒッチコックの映画よりもおもしろいかもしれない。

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『鍵のかかった部屋/貴志祐介』を読んだ【読書】密室トリックミステリー、防犯探偵・榎本シリーズ



鍵のかかった部屋貴志祐介

密室トリックものミステリーの短篇集。

うーむ、これはいまいちだったかな。

東野圭吾のガリレオシリーズみたいなもんだけど、

こっちは探偵役がまったくキャラ立ちしてない。

防犯コンサルタントが探偵役で

弁護士の女が助手役のような感じらしいけども

どっちもキャラクターが良くわからない。

どういう人間なのかが

全然思い浮かばないんだよなあ。

人間味が薄い。

これは登場人物だけではなく、

物語自体にも言えることで

それぞれトリックはおもしろいのだけど、

どうもトリックを見せるだけで精一杯で

トリックをどう見せるのかの舞台設定とか

お話とかがいまいちすぎて読んでで違和感があった。

不自然というかなんというか。

数学の問題と解法の提示を慌ただしくするだけって感じで

どうも情緒というか雰囲気というか

ムードっていうかねえ、そういうのに欠けるのです。

だから、トリックはなるほどと思うんだけど、

話としておもしろいのかというと

どうなのかなあと。

犯人が主役なんだろうけど、

どれもぱっとしないなあ。

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『雷蔵、雷蔵を語る/市川雷蔵』を読んだ【読書】市川雷蔵が生い立ちから、趣味、映画、家族、共演した女優たちについて饒舌に語ったエッセイ集



雷蔵、雷蔵を語る市川雷蔵

おもしろかった。

ほとんどが後援会の会報誌に掲載されていたエッセイで

少しだけ週刊誌に載せたものがある。

自分のファンに向けての報告って感じなので

読んでいておもしろいのです。

市川雷蔵からの自分宛ての手紙を読んでいるかのようです。

内容も生い立ち、養子縁組、歌舞伎、映画、女優、結婚、旅行と

仕事とプライベートな領域の垣根なしで

いろんなことが書いてある。

読み進むと、

「いまだにオッパイが好きで仕方がありません」という一文がさらりと出てきて、

え?ってなった。

いまだにオッパイが大好きで、

女性のおっぱいだけでなく、

男性のおっぱいですら触りたくなると

おっぱい=母性への強い慕情をさらりと告白してたりするのです。

自分のおっぱい好きを

赤ん坊のときに母と死に別れたことが原因ではないかと

分析してました。

人妻が大好きとかも書いてあったなあ。

人の奥さんだと恋が進展しようがないので

逆に安全だから人妻好きなのではないかと自己分析。

共演女優について書いたページでは

ある女優のことをいじる前の顔のほうがいいのに

残念だみたいなこと書いてあったし、

けっこうあけすけに正直にいろいろと

思いを綴っているのがおもしろい。

映画スター、市川雷蔵に至るまでも紆余曲折あったようですね。

小さいときに養子にいって、

大きくなってから歌舞伎の名門の家に

また養子にいって市川雷蔵という名を継いだ。

そこで映画界から声がかかって映画に出始めて、

年間10本主演作を作るようなスターとなっていく。

小さいときは歌舞伎をやるつもりもなく、

医者になることが夢だったらしいけども、

なんの因果か歌舞伎をやることになって

雷蔵という名を継いで歌舞伎でやっていくことになるのかとおもいきや、

映画という世界で大活躍することになる。

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『安井かずみがいた時代/島崎今日子』を読んだ【読書】作詞家・安井かずみの55年の生涯を関係者の証言から浮かび上がらせるノンフィクション



安井かずみがいた時代島崎今日子

なんだか暗い気持ちになっちゃった。

安井かずみという存在はリアルタイムで体験してない。

ジュリーの曲の作詞をやったりしてるので

名前は知ってるけども、

安井かずみが作詞家として全盛期だった時代は

遠い昔のことで

当時の熱気やなんかは

その時代を知る人たちの証言でしか知ることができないわけで。

ちょっと伝説というか神話というか。

お伽話を聞いてるような感じですね、

安井かずみが若かった時代のことを聞くと。

若くて、仕事バリバリで、高収入でまた使いっぷりもすごい。

加藤和彦と結婚してバブリーな時代を

理想のお洒落カップルというイメージで生きたというのも

まったくリアルタイムでは記憶してないなあ。

安井かずみたちにピンとくるのはもっと上の世代なのかなあ。

キャンティとかに若くて才能に溢れ行動力もあるやつらが集って

そこから歌や絵やファッション、演劇の

新しいものが生まれていく。

そういう時代の人間。

若くして、富と名声を得るという特権階級的な人たち。

そういう人たちでも

どうにもうまくコントロールできないことがあるっていうのがね。

なんていうか、手に入ったことによって

縛られていくというかねえ。

刺激的な仲間、やりがいのある仕事、莫大な収入、

若さがあって、なんでもできるんだ、自由だと

解放されるのかと思いきや、

がんじがらめに自分で自分を縛るような生き方になっていく。

それがなんか暗い気持ちになっちゃう。

なんていうか中年の危機とか老年の危機とか言うじゃないすか。

リタイヤしたらなんか気が抜けて

自殺しちゃったり、なんにもやる気が起きなくて鬱になったりって。

普通の人でもそういう危機的な時期がやってくる。

それが若い時に普通の人の何百倍、何千倍もの刺激を

うけて生きてきた人たちっていうのは

そういう危機も大きいんじゃないかと思ったね。

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『パラダイス・ロスト/柳広司』を読んだ【読書】帝国陸軍のスパイ組織“D機関”のスパイの活躍を描く「ジョーカー・ゲーム」シリーズ第3弾



パラダイス・ロスト柳広司

帝国陸軍内に設立された

スパイ機関に所属する

スパイたちの活躍を描くミステリー第3弾。

短編3つと中編1つが収録されてます。

短編はどれもおもしろかったなあ。

最後の「暗号名ケルベロス」っていうのはいまいちかな。

スパイの頭脳戦といいつつも、

第3弾ぐらいになってくると、

スーパーパワーを持った超人が

人間離れした技を披露するみたいな

大味な物語になってきてる。

もともと記憶や洞察力に長けた人間が

訓練により強化されて常人離れした

能力を発揮するというのはわかるんすけど、

いや、それって都合よすぎないかとか

気配を真似るってどうやってんのかとか

人を誘導するにしても

そんなやり方

なんか説得力ないなあとか、

スパイのスゴワザに裏付けというか

そこまで準備してたらそうなるわなという

説得力を感じる描写がない。

それにスパイなのに敵に手の内を見せびらかしてるのが

なんだかなあと。

まあ、読者に説明しなきゃいけないから

そうなるんだけど、

お喋りすぎるような。

短編だったらそれでも

まあ、そういうことかって思って通り過ぎるんすけど、

長い話になってくると、

何回も見せ場があって何回もスゴワザ披露になるので

ちょっときつくなる。

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