「Wの悲劇」を観た【映画】夏樹静子のミステリ小説をもとに、薬師丸ひろ子演じる新人劇団員が本物の女優になっていく姿をサスペンスフルに描いた異色青春ドラマ


Wの悲劇

顔はやめて!わたし女優なのよ!

こりゃたいそうおもしろい。

傑作だぜ、これはよお。

おれとお前の千秋楽とか、女優女優女優!とか、名台詞満載。

しかも映画としてもおもしろかったね。

GyaOで鑑賞。

原作は夏樹静子「Wの悲劇」なのだが、

原作の話はまるまる劇中の劇団が演じる演目として出てくる。

それに、劇団の裏側、若い女優がのし上がるために

何をしたかっていう話がプラスされてる。

一粒で二度美味しい構造。

いやー、おもしろいんだよなあ。

大味な角川映画にしては、珍しくすごい上手いつくりになってる。

劇団の裏側。

まあ、ちょっと古いんだけね。

ダンスレッスンシーンは、井森ダンスみたいに滑稽だしね。

音楽も古さを感じてしまう。

いちおう久石譲なんすけどね。

エリック・サティはなかなかはまっててよかったけどね。

この年代の映画が一番中途半端かなあ。

新鮮に感じるほど古くもなく、中途半端な時代遅れ感が漂う。

でもおもしろかった。

キャスティングもいい。

いつかは主役の座を射止めたいと夢一杯な研究生の薬師丸ひろ子。

最初のほうは、狙ってるのか素なのかなんなのかわからんが、すげー大根。

何事も演技の糧だと思って初エッチを劇団の男前、三田村邦彦とやりおえて、

朝方の帰り道で、野良犬やアヒルにむかって、

うふふ、わたし変わったかしら?女らしくなったでしょと呟くセンス。

公園の舞台でヘタクソな一人芝居。

たまらねえな。

それを見てたのが、ツイストな世良公則

一方的に自己紹介しまくって、

強引に薬師丸ひろ子に迫る男、世良公則。

あんだけ強引に迫ってきたのに、薬師丸ひろ子が部屋に来て、

寝てもいいわと電気を消すと、

おまえ酔ってるんだろと、電気をつけて抱こうとしない。

薬師丸、電気を消す。

世良、電気をつける。

このやりとりがしばらく続く。

おいおい、世良くん真面目すぎ。

あんなに強引に誘ってたのに、いざOKとなると、

今、おまえはオーディションに落選して、酔って自暴自棄になってる。

そんなときにやるのは嫌だと、

ピュアなのか真面目なのかなんなのかわからん態度をとる。

まあ、結局やるのだが、

一夜限りのなぐさめだとドライに別れようとする薬師丸ひろ子に、

次はいつ会えると、追いすがる世良公則。

劇団の稽古場までおしかけて、

あげくは一緒に住もうとかいいだすのです。

複雑ですねえ、男と女は。

ワイルドっぽい世良公則がウェットで、

何も知らないお子ちゃまみたいに見える

薬師丸ひろ子がドライな考え方を持ってる。

まあ、世良は元演劇青年で、

今の薬師丸ひろ子みたいに夢に燃えてたときもあったんすね。

それが、親友でもありライバルでもある同期の役者が事故で死んだとき、

哀しくて泣きたいのに、もう一人の自分が冷静に、

こういうときはこういう感じで泣くものなんだなと、

役者の自分が冷静に分析してて、

なにも考えずに泣きたくても泣けなかった。

それがショックで演劇を辞めちゃうんす。

演じるということの魔に耐え切れなくなって夢を諦めた。

一方、薬師丸ひろ子は、演じることの魔を分かった上で、

なんとしてものし上がってやるわとタフなふりをして頑張る。

夢破れた男と、夢に生きようとなんでもやってやると燃える女。

二人の千秋楽がどうなるのか、目が離せないぜ。

劇団の演出家役がほんとの演出家世界の蜷川幸雄

どなって台本を投げつけるシーンがリアルでよろし。

三田佳子の大女優演技も完璧。

素晴らしい。

三田佳子っていいね。

あんまり女優としての三田佳子って印象にないんだけど、

この映画では輝いてる。

記者会見のとき以上にいい演技してますよ。

劇団の看板女優の座につくまで、

チケット買ってくれるパトロンとつきあったりして、

上に行くのに女を使ってここまできた。

華やかなスポットライトを浴びる舞台の中央に立つためには

なんでもやる覚悟をする。

それが女優。

くあー、いいねえ。

大女優という役柄を迷いなく演じきる三田佳子

おもしろいねえ。

野望をあらわにガツガツしてる注目の新人女優を高木美保がやってて、

これもいいんですよねえ。

まあ、あんまり上手い演技じゃないけどね、

ガツガツした目つきがいい。

役者の演技は大満足で、さらに映画としてもおもしろかったなあ。

劇団の演目の内容と、実際の話がリンクしてくる。

これが楽しい。

薬師丸ひろ子が裏取引で一気にスターダムに上っていく後半はサスペンスだしね。

1秒たりとも目が離せないよ。

予告編
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