『ピカソになりきった男/ギィ・リブ』を読んだんだ【読書】



これはなかなかおもしろかったです。

贋作画家の自伝なんすけど、

贋作のことがおもしろかったんじゃなくて

アート市場というものの

在り方がわかっておもしろかったです。

贋作といっても

もともとある作品の複製画を作るんじゃなくて

画家の作風やタッチを完全にコピーして

その画家が描いたかもしれない作品を作り出すのが

贋作画家の仕事。

ヤフオクとかで贋作騒ぎがありませんでしたっけ。

誰々の描いたスケッチですと出品されてたものが

作者本人がこんなの描いた覚えないと否定したとか

昔ニュースで見たような。

ピカソやシャガール本人が描いた作品が

いったい何枚現存しているのかなんて

誰も把握できてない。

画家って一つ作品作るのに、

習作とかデッサンを何十枚も描いたりするし、

誰かにあげるために描いたりとかもするし、

正確にカタログできないみたいですね。

ときどきニュースでもありますね。

なんとかっていう巨匠の作品が

古い家の納屋でほったらかしにされてたのが

見つかったとかいうのが。

でもそれってほんとに本人が描いたものなのか

どうだかあやしいもんだ。

この本を読むとそう思います。

贋作画家は誰の依頼で贋作を作るのか。

贋作は誰が買うのか。

画商が買うらしいです。

本物を扱うちゃんとした由緒ある画商が

贋作を依頼してそれを買う。

鑑定士に本物ですという鑑定書を書いてもらって

それらしい値段をつけて売る。

本物の中に偽物を紛れ込ませる。

今もこの本の著者が描いた贋作が

本物としてカタログに載ってたりするらしいですよ。

画家の親族が著者の描いた贋作を

確かにこれは本物です、

これを描いているのを見たのを覚えていますと

言ったとかいうエピソードもあります。

鑑定も難しいみたいですね。

その時代の道具を使って

画家のタッチを完全にコピーして

エイジング加工して

さらには修復加工とかまでするし、

出所も歴史ある画商からとなると

本物と鑑定される贋作もすごい数あるでしょうねえ。

それぐらい何が本物で何が嘘物なのか

あやふやなのがアート市場なんすかねえ。

まあ、よく考えたらなぜピカソだったら何億円で、

ピカソじゃなかったら価値無しなのか

よくわからないし。

ピカソのタッチを完璧に再現して

ピカソの他の作品の中に紛れ込ませても

まったく違和感のない贋作を作って

それを鑑定士が本物と鑑定したとしたら

それはもはや本物ではないかみたいな。

アート商売の不思議さ。

絵を商品として扱っていても

物としての絵に値段がついてるわけじゃなくて

誰の描いた絵か、

アート史の中での意味あいとか

存在価値とかで値段が決まってる。

幻想をやりとりする商売なのがおもしろいですね。

そりゃ画商は贋作作って売りますね。

ただの紙切れが紙幣に変わるんだから

やらない手はないね。

信用と実績がある画商ほど贋作商売がやりやすいだろうね。

贋作画家は絵を画商に買ってもらえてうれしい。

画商は安く買った贋作が本物価格で売れてうれしい。

その絵を気に入った人は

本物のお墨付きで買えてうれしい。

まあ、みんな得したのかな。

アーティストが得してないか。

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